シャーペンマーカー


 いわゆる鉛筆を使った毛引きです。通常の毛引きももちろん使いますが、私の場合ほぞの長手方向の墨付けはシャープペンシルを使います。その理由は、墨線を残してホゾ加工をすることで、線の幅分をホゾの締め代とする為です(これは通っていた職業訓練校で教わった方法で、0.5mmサイズが広葉樹には丁度良い)。
 そこで、シャープペンシルが使える毛引きを自作した次第です。
 右端が通常の毛引きで、ネジで固定するタイプです。市販されている中では一番使いやすい物ですが、最終的にはテーブルの角などでコンコンと叩いて微調整をする必要が有ります。これがなかなか難しく、一発で寸法通りに決める事は容易では有りません。
 中央の物は市販の毛引きと同じ様な構造で鉛筆を取り付けられる様に自作した毛引きです。これはこれで使えますがやはり微調整には手間がかかります。
 お使いになった方ならばわかると思いますが、スケールと刃を支える為に両手がふさがり、そのままネジを締められない為、刃の方の手を離すのですが、これによって刃の位置がずれてしまうのです。何とも非合理的な道具だとつねずね思っていました。
 そこで考えたのが、左端の道具です。
 部品は、写真の通りたった3つ。まったくシンプルな構造です。しかし誠に具合が良いのです。
 ポイントはここ。竿が本体の穴に差し込まれているのですが、この穴と竿がわずかに楕円形になっているのです(写真ではわかりにくいですが、楕円の長手で20mm、短手で19mm程度)。写真の位置では自由に出し入れ出来ますが、竿を少しひねると楕円同士がかみ合い、本体に固定されます。わざわざ竿を固定するネジやクサビなどは必要有りません。
 実際の調整方法は、写真の通り。右手で本体と直角定規を挟み持ち、左手で竿を持ちながら所定寸法まで調整。その位置で竿をひねればセット完了。
 面倒な微調整はもう必要有りません。
 墨付けというのは、地味な作業で、これが好きだと云う方はあまりいらっしゃらないのではないでしょうか。良く”段取り8分”と言いますが、無理のない良い道具を使えば面倒がらずに取りかかれますし、品質向上のために他の重要な所に力を注ぐことが出来るというものです。

 ちなみに、使用しているペンは市販の100円程度で売っているもの。但し芯はBを使用。これは芯圧で素材に傷が残るのを防ぐ為です。
 (ただ、一つ悩みが有ります。ブラックウォールナットの様な黒い材料では黒い線はとっても見づらいのです。どなたか白い芯をご存じないでしょうか?)

 構造も簡単で作業性抜群です。みなさんもお試しあれ。