　昨年、ダイニングテーブルを納めたお客様よりご相談を頂きました。
”一階のリビングに床下収納が有り、ここにワンタッチで上下出来るテーブルを付けたい”との内容。元々ここにはまり込むテーブルが有ったそうですが、上下出来る訳では無く、作業性が悪いため結局使わなくなってしまったとの事でした。

　お部屋を拝見したところ、穴の中には荷物が詰まっており、非常にもったいないという印象を受けました。ここに上下出来るテーブルが有れば使い勝手が非常によいと言うのが良く理解できます。しかし、どうやって上下させようか？課題を残しながら見切り発車です。

　こちらは、収納時の写真。床面とフラットになり、お部屋を広く使うことが出来ます。

　また、内部の床には元々床暖房が設置されており、冬場には堀こたつとしても使う事が出来ます。

　これが上下機構の内部構造です。

　４隅に置かれたスライドレールに沿って３００ｍｍのストロークを確保。レールだけでは剛性が確保出来ませんので、上昇端でロック出来る様、４ヶ所にノックピンが入る様になっています。これで、人が乗っても動くことは有りません。
　また、テーブルを引き上げる時に軽く操作出来るようガスシリンダーが組み込まれています。

　写真の鍵状のものが、ロックを解除するハンドル。鍵を抜いておけば常にロックされる安全設計です。

　右上の部分には、追加のご要望によりちょっとした小物を飾るスペースを設けました。今入っているのは”スモークライト”と呼ばれるもので、水を張っておけばスモークとＬＥＤにより七色に光り、ちょっと不思議な雰囲気です。

　限られたスペースの中で安全な上下機構を組み込むには、それなりの苦労も有りましたが、今回の様に、ある機能を組み込んだ家具造りもオーダーならではの仕事です。